PROFILE

1981年第8回ヴィエニアフスキー国際ヴァイオリンコンクールにて。



川口 ヱリサ



人生には運命としか言いようのない一面もあるが、ヱリサのヴァイオリンの始まりがそれだった。


 たまたま通っていた幼稚園のスズキメソード教室でヴァイオリンの手ほどきを受ける。その後名教師平井淳衛師のもとで基礎をたたき込まれ、続いて矢嶋佳子師の薫陶を受け、芸高(東京芸術大学付属高校)入試を目指す。

東京芸術大学に進み、多(おおの)久興師からは音楽の高貴さを、海野義雄師からは音楽全体の見方とソリストとしてのこつや舞台マナーを学ぶ。

在学中、第49回日本音楽コンクール優勝、及びヴィエニアフスキー国際ヴァイオリンコンクール第2位受賞。

 文化庁海外派遣留学生として、ベルギー・ブリュッセル王立音楽院で、アンドレ・ゲルトラー、カティ・セバスチャン両師のもとで更に研鑽を積む。自らの考えを持ち、それを演奏にどのように反映させ自分の道を見つけていくかの、苦悩の時代が始まる。

パガニーニ、エリザベートの両国際コンクールに入賞するものの、自分の中の迷いを断ち切れず、しばらく音楽から離れる時期を迎える。

 妹 さやかとのデュオを始めることが、音楽再開のきっかけとなり、それ以後もさまざまな音楽家達と室内楽を経験することによって、全く新しい音楽へのアプローチが始まる。

1996年から5年間、ロイヤル・フランダースフィルハーモニー管弦楽団(アントワープ)のコンサートマスターを務め、2002年からはシュピーゲル弦楽四重奏団の第一ヴァイオリン奏者として活躍する。

日欧間の国際交流の一環として、ユーロ・ニッポン・ミュージックフェスティバルを主催し、北九州市におけるインターナショナル・ミュージック・アカデミーの重鎮となる。2009年北九州市文化大使に就任。

ソリストとして室内楽奏者として、ヨーロッパ各地及びイスラエル、トルコ、エクアドル、メキシコ、エジプト、中国、そして日本でのコンサート、マスタークラスを開く傍ら、執筆や講演も幅広くこなす。

1990年よりブリュッセル王立音楽院で2年間講師を務めた後、現在はベルギーのルーヴァン・レメンス音楽院で教鞭を執っている。

全日本学生音楽コンクール北九州大会 審査員。



ヱリサにとっての究極の願いは、民族や言葉が違っていても、いかなる立場にある人々にとっても、
音楽を通じて癒しと喜びの空間を作っていくことに他ならない。