エジプト〜カイロ編 9【女性たち 3】
そして、もっと酷く、許されるべきではない慣習について言及したいのですが。。。
この世界におけるFGM(Feminine Genital Mutilation =女性性器切除)で、今もなお綿々と続くその実情なのです。
これは決してイスラム教のコーランに記されていることではなく、数千年に渡るアフリカや中東に存在していた慣習が、イスラムの教えという化けの皮を被って続けられていたのです。
女性が夫との性行為の折痛みしか感じないが故に他の男性との浮気は考えられない、その余りにも女性を貶めた、しかも肉体を徹底的に傷つけて男性優位を保つ考え方には吐き気を催してしまいます。
ユニセフの親善大使でいらした黒柳徹子さんが、その「ソマリア報告書」で書き綴っていらっしゃいますが(新潮文庫、不思議の国のトットちゃん、から)実際の施術の残酷さ(麻酔を使わずにナイフか鋭利な石で切除を行い、植物のトゲを針代わりにして縫い合わせお小水と生理の時のための一つの穴だけ残す、新婚初夜で夫がハサミで縫い目を切って目的を遂げる)と、この切除の後多くの少女たちは感染症で命を落とし、その後どれ程女性の健康を傷つけ、妊娠や出産による母親の死の危険性のを大きくしてきたか、と。
この施術を行うのは同じ目にあった女性たちで、この様な残酷さを撲滅したいとどんなに願ってもこの処置を施していない女性たちはまともな結婚も出来ず、村八分で娼婦扱いされて野垂れ死にの運命が待っている、(つまりは男性の決定なのですが)誰もがこの運命を仕方のないことと受け入れてきた長い長い歴史があるのです。
私は現代エジプトでさえこの切除施術が、80%以上の女性に対して行われているという事実を知らされてショックを隠し切れませんでした。。。。
もしも日本で入手可能なら、〈Desert Flower=砂漠の花〉Cinéart配信という映画をご覧になる機会があればと思いますが、これはWaris Dirieさんというソマリア生まれでトップモデルに登り詰めた彼女の実話をもとにした映画です。
彼女は初めて国連で、このFGMの実情を訴えた女性で、この後多くの国の政府がこの慣習禁止命令を出しましたが、今もなおその犠牲になり続けている女性たちの数はなかなか減りはしない、という事です。
大きな問題は、この様な状況にいる女性たちが仕方がないと諦めている、この様なものだと、これが普通なのだと、長い歴史の中での洗脳の中で生きている、その有り様が彼女たちの自立を妨げている、このことなのです。
長く長く続いている生活のあり方に反旗を翻すのは容易なことではありません。その状況に妥協して生きる方がある意味もっとずっと楽なのだと思います。
ここでまた真の自由とは何か、を再考しないといけません。
皆様はどの様にお考えになるのでしょうか?
(いつか今のコロナ問題がある程度解決する時期が来たら、女性たちのシンポジウムなどを我が故郷北九州市で開けたらなあ、など夢のような事を考えています。)
私は決してかつてのウーマンリブのような考え方を持っている訳でも何でもなく、男性、女性、それぞれに会う役割を見出し、又は互いに助け合って、ただ人間としてのお互いへの尊厳は平等に思いやる、理想論かも知れませんがそのような世の中が来て欲しいと心から願っているのです。
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